アレルギー外来について
私たちの身体には、もともと体内に侵入した抗原(細菌や異物など)を排除しようとする免疫機能が備わっています。しかし、ときには特定の抗原に対して免疫機能が過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギーであり、近年はアレルギー関連の病気に罹る方が非常に多くなりました。
当院では、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、じんま疹、アトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患の検査(採血、パッチテスト)、治療(抗アレルギー薬、漢方薬、舌下免疫療法)を行います。気になるアレルギーの症状が見られた際には、ご相談ください。
このような症状はご相談ください
- 目の腫れ、かゆみ、充血、目ヤニ、まばたきが増えた
- くしゃみや咳が止まらない
- 鼻水、鼻づまり
- 鼻や目をこすって皮膚の赤みや鼻血が出た
- 皮膚の湿疹、かゆみ、じんましん、みみず腫れ
- 呼吸が苦しそう、いびきが大きい、口呼吸している
など
アレルギー検査について
当院では血液検査によるアレルギー原因物質の検査や、アレルギー性皮膚炎(かぶれ)の原因物質を突き止めるため、皮膚に微量のアレルギー物質を貼るパッチテスト(貼付試験)を行います(保険適用)。
血液検査:
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などを引き起こす原因物質のIgEという蛋白質の量を測定する検査法です。これにより、花粉、ダニ、食物を含めたアレルギーの原因物質を突き止めることが出来るのです。
パッチテスト:
パッチテストはアレルギー性皮膚炎の原因となるアレルゲンの確定や、歯科金属アレルギーの確定をする有力な検査である。
当院はパッチテストパネルSを用いて、日本で陽性率が高いアレルゲン22種類(金属、香料、毛染料、化粧品、ゴム、防腐剤など)について簡単に一括で評価することが可能です。
検査方法:
背中に長方形のシールを2枚貼って、48時間後、72又は96時間後、1週間後皮膚の反応を判断する。
検査日程:
検査ご希望の方は月、水、土曜日いずれかにご来院ください。
貼る日 | はがす日 | 2回目の判定 | 3回目の判定 | |
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パターン1 | 月曜日 | 水曜日 | 金曜日 | 翌週の月曜日 |
パターン2 | 水曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 翌週の水曜日 |
パターン2 | 土曜日 | 翌週の月曜日 | 火曜日か水曜日 | 土曜日 |
アレルギー外来で扱う主な疾患
花粉症・アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎には通年性と季節性があり、通年性は主に室内に住み着いているダニやカビ、ハウスダストなどが原因で起こります。これに対し、スギなどの花粉が原因で起こる季節性アレルギー性鼻炎を「花粉症」と呼び、大人から子供まで、幅広い年齢層でお悩みの方が増えています。多くは目やのどに痒みなどの症状を伴いますが、皮膚症状だけが現われることもあります。
花粉症などの症状を抑えたり、予防するには、まず原因・悪化因子(スギ花粉など)が鼻・口などから侵入しないようにすることが大切です。多くの方がご承知の通り、外出時はマスクやゴーグルを付ける、帽子をかぶって髪など付着しないようにする、帰宅時は鼻を洗浄する、などの対策を講じましょう。
治療にあたっては、抗アレルギー薬を用いる薬物療法が基本となります。さらに、抗原特異的減感作療法などを導入することもあります。
アレルギー性鼻炎の治療
- 原因となるアレルゲンの除去・回避
- 薬物療法(対症療法):抗アレルギー内服薬、点鼻薬、漢方薬
- 舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法):スギ花粉の花粉症、またはダニによる通年性アレルギー性鼻炎の方が適応になります。
舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)とは
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、舌下免疫療法があります。舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ身体に吸収させて慣らしていくことで体質を改善し、アレルギー反応を弱めていく治療法のひとつです。従来の注射で行う皮下免疫療法が難しかった方や、小児(5才~)にもおすすめできる治療法です。以前から用いられていた皮下注射療法に比べて痛みが回避でき、かつショックなどの重篤な副作用の頻度がはるかに低いといった特徴があり、最近注目されている治療法です。
当院でご相談に対応できる「スギ花粉症」や「ダニアレルギー性鼻炎」の舌下免疫療法は、3~5年続けていくことが必要となる治療法ですが、アレルギー症状を根本的に治したり、長期にわたって症状を抑えたりする可能性のある唯一の方法とされています。
- お薬の副作用で眠気がでると仕事や学業、日常生活に支障がある
- アレルギー症状を少しでもよくして、お薬の量を減らしたい
- これから先も毎年アレルギー症状に悩まされるのは嫌だといった方には、治療の選択肢として知っていただきたい方法です。
舌下免疫療法で期待できる効果
舌下免疫療法の臨床試験の結果では、約8割の方に効果がありました。
そのうち、約2割の方は症状が出なくなりました。残りの約6割の方は症状が改善しました。
長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。人によっては完治も期待できます。
症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
舌下免疫療法の注意事項
- 治療前に、症状がスギ花粉またはダニによるものかの診断が必要です。(問診や血液検査を行います)
- 治療は長期間(3~5年)かかります。
- すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。
- 免疫をつくる治療法ですので、完全に治ることも期待できます。
スギ花粉の飛散時期(1月から5月)は開始できないため、スギ花粉に対する舌下免疫療法の開始は6月~12月に限られます。(5月中に開始可能な場合もあります)。 - ダニについては季節の定めはありませんので、一年中いつでも開始できますが、スギ花粉症をあわせもっている方の場合は飛散期が終了してからをお勧めします
舌下免疫療法の流れ例(スギ花粉舌下錠の場合)
※薬剤によって多少異なります。
- 初回診察
診察を受けていただき、場合によってはアレルギー検査を行います。
総合的に舌下免疫療法の適応を判断します。 - アレルゲンの初回投与
アレルゲンの初回投与をおこないます。
投与の後は、約30分間、院内で経過を見ます。 - はじめの1週間
少量の舌下錠は、1日1回、舌の下に1分間保持した後、飲み込みます。
その後5分間は、うがい・飲食を控えてください。 - 2週目以降
2週目からは、増量した舌下錠を毎日1回投与し続けます。
これを3~5年間継続します。
治療開始からしばらくは、副作用がなく安全に続けていけるか確認するため、複数回の通院が必要ですが、安定して継続できる段階になると、毎月1回ペースの通院で状況確認と次回までのお薬を処方できるようになります。
治療を始めてすぐに効果が出るものではないことを理解し、気長に根気強く治療を続けていくことが大切です。
舌下免疫療法を受けられない方
- スギ花粉症/ダニアレルギーではない方
- 5歳未満の方(5歳以上から受けられます)
- 重い気管支喘息の方
- 悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方
注意が必要な方
- アレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状をおこしたことがある方
- 気管支喘息の方
- 65歳以上の方
- 妊婦の方、授乳中の方
- 抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
- 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
- 他に服用中のおくすりがある方
非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)など - 全身性ステロイド薬の投与を受けている方
- スギ花粉以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方
舌下免疫療法の主な副作用
- 口の中の副作用
- 口内炎
- 舌の下の腫れ
- 口の中の腫れ
- 喉のかゆみ
- 耳のかゆみ
- 頭痛
- じんま疹
- 腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)
アナフィラキシー(ごくまれ)
スギ花粉やダニといった物質にアレルギーをお持ちの患者さんにそのエキスを投与することで治療を行いますので、当然のことながらアレルギー反応が起きる可能性があります。重篤な場合ではアナフィラキシーショックとよばれる強いアレルギー反応を生じる可能性があります。投与後30分以内で、じんま疹などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状が見られます。
ただし、これまでの海外での実績では、舌下免疫療法にともなう重篤な副反応はきわめて稀であり、従来の注射による免疫治療よりもかなり安全とされます。(舌下免疫療法によるアナフィラキシーショックは投与100,000,000回に1回、副反応4000例のうち1例程度との報告があります。また、ショックに至るような事例は通常の服用例ではなく、過量服用や体調の悪い時が多いといわれています)
アトピー性皮膚炎
顔や口の周り、首や手足の関節など、様々な部位に増悪、寛解を繰り返すかゆみのある慢性湿疹を主病変とする疾患です。皮膚が乾燥しやすい素因(ドライスキン)とアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を持っている方が罹りやすいと言われています。乳児の場合は、食物アレルギーが原因となっているケースも頻繁に見られます。
アトピー性皮膚炎の治療にあたっては、まず症状が悪化している因子を取り除くことが大切です。さらに、保湿剤などを用い、日常的にスキンケアを行っていきます。
その上で、ステロイドや免疫抑制剤などの外用薬内服薬や漢方薬なども実施します。
蕁麻疹
皮膚の表面には角層という組織があり、外部の刺激物が体の中に侵入しないようブロックしてくれています。そして、皮膚の奥の方には真皮があるのですが、この肥満細胞には蕁麻疹の原因となるヒスタミンなどが蓄えられているため、ある種の刺激を受けるとヒスタミンが放出され、皮膚に炎症や膨疹、紅斑などを引き起こしてしまうのです。
通常、皮膚に生じた紅斑などは数分~1日程度で消えるのですが、一旦消失しても、またすぐに出現することもあるため、「蕁麻疹がなかなか治らない」と感じている方もいらっしゃいます。
蕁麻疹の原因は、食べ物や内服薬、細菌・ウイルス感染などが考えられます。食品では、そば、エビ、カニ、果物、サバ、マグロ、豚肉、タケノコ、もち、香辛料、人工色素など。薬剤では、ペニシリン系やセフェム系などの抗生物質、解熱鎮痛剤、降圧剤などで起こりうるのです。さらに、皮膚の物理的刺激、日光、圧迫、発汗、入浴、運動、ストレスなど多岐の要因が考えられます。
そのため、治療にあたっては、これらの原因を突き止めることが大切となります。その上で、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを組み合わせ、症状の改善を目指していきます。
気管支喘息
気管支喘息は気管支にアレルギー性の慢性炎症が生じ、気道が狭くなって発作性の呼吸困難や喘鳴(ゼーゼーやヒューヒューと音を立てて息苦しくなる状態)咳などの症状をおこる病気です。症状は、夜間あるいは早朝にでやすい傾向があります。
喘息の原因
遺伝的因子
ご両親が喘息などのアレルギー疾患を有する場合、喘息発症のリスクは高くなります。
環境因子
ハウスダスト、カビなどを代表とするアレルゲンに関与します。
その他
喫煙、大気汚染、天候変化(気圧、温度、湿度)、運動、薬剤、職業など
喘息の検査
喘息が疑われる場合は、下記のような検査を行い、診断・治療方針、治療効果の判定を行います。
アレルギー検査
喘息の原因となる吸入アレルゲンを推定する
呼吸機能検査
肺活量、1秒量などを測定し、呼吸の力を評価する
呼気中一酸化窒素検査:気道の炎症の程度を評価する
喘息の治療
気管支の慢性炎症を吸入ステロイド薬を中心に、気管支拡張剤や抗アレルギー薬などの吸入薬、貼付薬、内服薬を用いて治療を行うと同時に、症状のひき金となる刺激や原因(カビやほこり、寒暖の差など)を避けることも大切です。体調や室内の環境を整え、禁煙や十分な睡眠など生活習慣の改善や体力低下しないよう心がけが必要です。
喘息の治療については、同じ系列の吸入薬でも患者さんごとに相性があり、きちんとした薬剤選択、きちんとした治療を行えば、喘息患者さんも健康人と変わらない生活を送ることが可能ですが、喘息発作になってしまった場合は、気管支拡張作用や炎症を抑える薬を点滴したり、ネブライザーによる吸入療法を行います。重症のときは入院加療が必要になります。
夜間や明け方に増悪する咳、息苦しい、喘鳴(ヒューヒュー、ぜーぜーする音)、咳長引く、咳止まらない、季節の変わり目やエアコンの風邪にあたるとせきがでるなどの症状があれば、ぜひアレルギー外来を受診してください。
- 院長名
- 劉 瑞芹
- 診療内容
- 内科
皮膚科
漢方外来
アレルギー外来
渡航外来(トラベル外来)
禁煙外来
予防接種
健康診断
国際外来(中国語、英語)
肥満外来(ダイエット外来) - 住所
- 東京都江東区平野2-11-5
パシフィック第二門前仲町 2F - アクセス
-
*半蔵門線「清澄白河」駅(B2出口)徒歩6分
都営大江戸線「清澄白河」駅(B1出口)徒歩8分
都営バス(東20、業10)「東京都現代美術館前」停留所 徒歩3分
都営バス(秋26)「白河二丁目」停留所 徒歩6分*東西線・都営大江戸線「門前仲町」駅 徒歩12分
都営バス(門21)「冬木」停留所 徒歩3分
都営バス(門33)「平野一丁目」 徒歩6分*都営新宿線 「菊川」駅 (A2出口) 徒歩15分
都営バス(東20、業10)「東京都現代美術館前」停留所 徒歩3分 - 電話
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診療時間
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〇:土曜日の午後は17:00まで